シンガポールでC4カクタス買いました

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SGX上場のNoble Groupの株価が異常に下がってるんだけど、買うべき?への回答

嫁様がSGXに上場されているNoble Groupの株価がすごく下がったというニュースを見て、今買ったら儲かるかな?と聞いてきたので、証券アナリスト挫折組の私が、解説いたします!(泣)

 

I. Noble Groupの株価について

 

Noble Groupの株価は、8月10日の終値で0.15SGDであり、異常に低い状態である。

過去3年間の株価の推移は以下のようになっており、1年以上にわたって下がり続けている。

  

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Noble Groupの株価が異常に低くなった原因として、以下が考えられる。

 

 

①Iceberg Researchによるレポート

 

2015年2月、匿名の調査会社であるIceberg Researchが、Noble Groupの不正会計を指摘するレポートをインターネットで公開するとともに、投資家にも同レポートを送付した。レポートの内容が非常に説得力のあるものであったため、投資家が反応し、以来、1年以上にわたって株価は下がり続けている。

 

Iceberg Researchによる批判を簡単に述べると、Noble Groupは、かつてEnronが行っていたような不正会計によって利益と資産を実態以上に大きくレポートし、投資家をミスリーディングしているというもの。

 

Noble Groupはすぐさま本レポートに反論し、Iceberg Researchを裁判で訴えるなどしたが、指摘された疑わしい会計処理について、現在まで有効な反論を出せておらず、訴えも裁判所によって棄却された。

 

パブリックコメントとは裏腹に、2015年には、Noble Groupはそれまで否定的であった固定資産の大規模な減損を行った結果、1.7 Billion USDの純損失となった。Fair Valueに比べて、投資先のBS計上額が異常に大きすぎる点をIceberg Researchはレポートで指摘しており、結果的にレポートの有効性が証明された形となった。

 

ちなみに、Iceberg ResearchによるNoble Groupのターゲット株価は0.1SGDである。

 

Iceberg Researchのレポート詳細は以下を参照

https://iceberg-research.com/

 

 

②’Junk’レーティング

 

2016年始め、S&PとMoody’sは、Noble Groupの格付けを’Junk’に格下げした。これは、経費や利息支払い等、必要な支出をカバーするキャッシュフローを生み出すことができない可能性が非常に高いことを意味している。

 

格下げ後の借入金利は、プレミアムを反映して非常に高くなるはずで、後で見るようにNoble GroupのOperating CFはマイナスであり、今後もその傾向が続く可能性が高い。借金を返すためにまた借金をする必要があるが、格下げの影響で借入利息は従来より高くなる。今後、売上が現在のレベルで推移し、Operating CFのマイナスが続けば、借金返済と利息支払ができなくなり、会社は倒産するはずである。

 

 

③売上高減によるOperating CF不足

 

Noble Groupの売上高・売上総利益とキャッシュフローの推移は以下。

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注目すべき点は、以下である。

 

・資源安の影響で、売上高が大幅に減少

・売上減の影響で、Operating CFが2年続けてマイナス

・最新の2016年1Qの売上高は、過去3ヵ年で最低

 

また、理由は不明だが、FY2015年のGP ratioが0.17%と異常に低くなっている。市況の影響で、売上単価が下落したことが原因か、あるいは、苦し紛れに安売りした結果とも考えられるが、売上高を膨らませるための何らかの不自然な状態があった可能性がある。

 

また、Iceberg Researchの主張が正しいと仮定すると、会計操作で無理やり膨らませた結果でもこうだとするなら、実態はもっと悪いということになる。具体的には、長期契約の商品単価を楽観的な単価で見込みすぎている(=売上を高く計上しすぎている)、といったことが指摘されている。

 

次に、Reutersによる売上高のアナリスト予想が以下。

 

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今年と来年の売上高は、悪かった去年よりさらに低いと予想されている(予想平均)。となると、Operating CFのマイナスもあと数年続くと考えられる。Operating CFがマイナスということは、営業を続ければ続けるほど、カネが減っていく、ということである。

 

 

④借金依存

 

Operating CFのマイナスが続き、カネはどんどん減る。が、利息や仕入商品や経費の支払はしなければならない。となると借金をして支払いをするしかない。これが現在のNoble Groupの状態である。

 

BSの負債・資本の部は以下。

 

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2015年に借金が2014年の1.5倍に膨れ上がっている。うち、2,488Mil USDが短期の借金であり、今年(2016年)中に返済しなければならない。

 

この借金を減らすため、先日、Noble Groupは一株0.11SGDという非常に低価格でRights Issue(株主割当株式分割)を行ったが、総額で500Mil USDだけである。

 

さらに借金を減らすため、Noble Agriという子会社を750Mil USD売却することが決まっている。

 

それでもまだ4,671Mil USDという莫大な借金が残っている。

 

Noble Groupは現在、短期の借金につき、銀行シンジケート団から借金の借り換えを行っているところであるが、Junkへの格下げの影響で借り換えの利率は従来より高いはずである。

 

以上、①~④で見てきたように、現在Noble Groupは四重苦の状況であるといえる。①~④のうち、どれか一つでも、企業にとっては致命的な問題であり、Noble Groupは、このまま企業として存続していけるかどうか、非常に疑わしい状況である。つまり、継続企業の前提(Going-concern前提)が崩壊しているわけで、投資家はそれを理解しているので、0.15SGDという異常に低い株価になっていると考えるべきである。

 

今後、①~④の状況が改善されなければ、株価は0.1SGD前後のレンジで推移し続けると思われる。その時間が長引けば長引くほど、倒産の可能性は高まる。

 

 

II. Noble Groupの株に投資するべきか?

 

I.で述べた①~④の状況がこのまま続けば、倒産することは間違いないので、これが改善しない限りNoble Groupの株に投資するべきではない。

 

逆に、①~④の状況が改善される可能性が高くなれば、投資するべきである。

①~④の状況が改善される可能性の一つとして、以下のシナリオが考えられる。

 

<ベストシナリオ>

Olam Internationalのような会社が、Noble Groupを救済のために買収

⇒マネジメントを総入れ替え

⇒新マネジメントがIceberg Researchで指摘されている点について調査、投資家に正直にdisclose

 

このような状況になる可能性が高まれば、株価は間違いなく上昇するはずである。そのときにはNoble Groupの株に投資するべきである。

 

  

<補足>

以上見てきたように、現在のNoble Groupの状況は悲惨なものであるが、その中でもポジティブな要因はゼロではないので、最後に、現在のNoble Groupのマネジメントの下で株価が回復するという、<非常に楽観的なシナリオ>について述べる。

 

まず、Noble Groupは現マネジメントの下で、アセットライト化のリストラを進めており、Noble Agriの売却もその一環である。

 

Public Relation上はIceberg Researchに反論しながらも、昨年実際に資産を減損させたのは、従来の誤りを認めて正したわけであるから、評価できる(ただ、他にもまだ過大評価の資産があるようである)。

 

また、先のRights Issueでは、創業者で会長のMr Elmanが9.58%の新株を取得している。このような状況で、創業者が個人資産を投下して新株を取得したということは、創業者はNoble Groupの将来を楽観視していると考えることもできる(しかしこの会長は1年以内に会長を辞めることを希望している。また、前CEOも突然辞任しており、問題が表面化する前に逃げたようにも見える)。また、中国の政府系ファンドが9.65%の新株を取得しており、今後、ここからの資金サポートが得られる可能性も考えられる。

 

さらに、銀行団が非常にlenientな条件でNoble Groupの借金の借り換えに協力すれば、現マネジメント下での再建の可能性もゼロではない。

 

銀行および投資家の協力を得てキャッシュフロー不足を回避し、アセットライト化のリストラを続けることができれば、しばらくは延命できるはずで、その間に資源市況が回復すれば、Noble Groupは復活することができるであろう。その場合は、崩壊したGoing-concern前提が回復し、株価も従来の水準に上昇するはずである。